宅建に合格したんですが、次は行政書士に挑戦しようと思います。
市販の参考書を使って独学で挑むのは難しいでしょうか?
宅建と同じ民法が試験範囲になりますので、初学者よりも有利ですよ!
ただし、スクール・独学を問わず、学習には相当の覚悟が必要になりますよ。
この記事は、宅建に合格した筆者が行政書士を受験し終えるまでの話です。すでに民法をある程度理解しているという点で初学者とは異なりますが、多くの方の参考になりましたら幸いです。
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筆者の受験状況
筆者は2024年度の行政書士試験に受験し、合格点である180点のボーダーライン上に居ると認識しているため、2025年1月29日の結果を待っています。そのため、あまり優秀な受験生ではないことをお断りしておきます。
固定ポスト用。
— シュン | R6行政書士受験生(結果待ち) (@middle_license) November 10, 2024
記述も供養のために載せておきます🙏
続きは1月29日に。 pic.twitter.com/YgFpptMURq
LECの採点結果が出てた!
— シュン | R6行政書士受験生(結果待ち) (@middle_license) December 4, 2024
マークミスと本家記述採点がどうなるか分からんから
発表当日待ちには変わりないけど、期待してます😊 pic.twitter.com/Uh08LsLPhJ
現時点では「受験体験記」です。
合格したら「合格体験記」に改めさせていただきます!
行政書士試験について
行政書士試験は、毎年11月の第2日曜日に開催される試験です。主な出題範囲は以下のとおり。
宅建よりも学習範囲は非常に広いことに加え、同じ民法でも深みある理解が求められます。また、出題形式も選択肢が1つ多い五肢択一形式に加え、多肢選択式が3問(1問当たり4個回答)、40字記述問題が3問あります。
300点中180点以上取れたら合格ですが、法令択一問題と基礎知識問題でそれぞれ設定された足切り点に満たない場合は問答無用で不合格となります。ただし、必要な学習ができていれば、足切りライン以上は必ず取らせてくれるような出題内容となっている印象です。
また、点数のウェイトが高いのは記述式問題です。設問で求めている条文や判例知識に沿って記述する必要があり、難易度はとても高いですが、五肢択一が1問4点に対し記述式は1問20点なので、これが取れれば大逆転です。そのため、合格を万全のモノにするには記述式に対する対策も必要です。
学習時間は1000時間に満たないぐらいを挙げるサイトや書籍が多いです。筆者も平日3時間・休日10時間以上で半年以上取り組みましたので、そのぐらいの時間に達していると思われます。
その他、詳しい試験概要については公式サイトをご確認ください!
行政書士を受験することになったきっかけ
筆者は2023年の宅建・賃管試験、2024年1月のFP2級試験に合格したのですが、そのままの流れで「じゃあ行政書士を受験しよう!」と思ったわけではなく、FP2級の受験を終えたら資格勉強から撤退することを考えていました。
それではなぜ、行政書士試験を受験しようと思ったのか?
きっかけは2023年12月頃、友人の親族に不幸があったのですが、FP2級の勉強をしている私に対し、相続・遺産分割などの相談がありました。友人曰く、最終的には分散している口座や証券、税金などの情報を取りまとめて、遺産分割協議書を作成したいとのことでした。
同時に、友人は相談料を払って良いとも言ってくれたのですが、当時の自身が持つ資格といえばFP3級だけ。素人が報酬を貰うのはプロに失礼ですし、「そのうち何かご馳走してくれれば良い」ということで、友人間の相談として引き受けました。
むしろ勉強させてもらえるぐらいの気持ちだったので
何かしらの対価を受け取るつもりは微塵もありませんでした 笑
私の主な出番は住宅関係の書類の見方とか、法定相続分、一般的な相続税の話をした程度でした。それでも多少は役に立てたようで、勉強して良かったなと素直に思いました。
ただ、この出来事は私に大きなモヤモヤを残すことになりました。
今回のことは友人の代理として、無償であれば遺産分割協議書の作成までは出来たと思います。無償なら今後も「少し詳しい人」として一定まで手伝うことは出来るでしょう。でも、これまで頑張って取得した宅建や賃管を資格を登録しても、業として対応できるのはせいぜい個別具体的でないアドバイス止まりになります。
ここで初めて、行政書士を検討することになりました。以下の士業であれば、業として遺産分割協議書の作成を行うことができます。
上記の中で、一番難易度が低いのは行政書士です。それでも決して簡単な試験ではありませんが、勉強習慣があるうちに挑戦したら合格可能性があるのでは?と思い、挑戦することにしました。
学習方法の検討
「行政書士 受験」「行政書士 難易度」などのキーワードでWeb検索すると、行政書士に関する勉強方法や参考書の話がたくさん出てきます。私のように宅建受験後に挑まれる方も相当数いらっしゃるようでした。
同時に「行政書士は食えない」という内容も一定数見かけました。この手の話を読んで受験を見送る人もいらっしゃるようですが、行政書士は低コストで開業できる上に兼業も可能であることから、「こんなに開業しやすくリスクの低い士業は他にない」という印象でした。
士業の定義については割愛しますので、以下をご参考ください
さて、私がWeb検索で一番多く見かけた学習方法は「肢別本(あしべつぼん)」なる過去問題集を周回する方法でした。調べてみると一問一答形式のようで、五肢択一の選択肢を1つ1つバラバラにした物を1冊にしたものであるとのこと。また、「肢別だけで受かる・受からない」は受験生界隈で1つの大きなテーマとして、何年も話題になっているようです。
筆者は過去、宅建や賃管で四肢択一の問題集を学習の中心に使っていましたが、正解肢を覚えてしまい、他の選択肢を検討しないという問題がありました。今思うと、一問一答の問題集を使えば宅建にもっと早く合格できた気もしますが、後からでは何とでも言えますね。
ともあれ、行政書士試験では肢別本と同シリーズの基本テキストを使って学習することにしました。
なお、私が購入したのはLECですが、今までLECの教材を中心に使用したこと、スマホアプリで学習出来ることもメリットだと思って選びました。実際に使ってみると、問題集に直接書き込んだり付箋を貼ったりした方が苦手の把握や振り返りがしやすく、アプリは3周ほど解いたあとは使わなくなりました。
上記のほか、使用した教材一覧は次章のとおりです。
実際に使用した教材一覧
筆者が受験に要した教材費は全部で約29,000円でした。受験生の中では比較的安価に済ませている方だと思います。
まだ気持ちがスッキリと切り替わらないので、
— シュン | R6行政書士受験生(結果待ち) (@middle_license) November 11, 2024
教材の整理をしてみました。
写真以外で課金したものは、
アモン先生(@gyoseisyos / @amon_study)の
記述&一般予想の2点でした。
これをAnkiに入れてひたすら回しましたが、
なければ善戦すらしなかったと思います。
本当に感謝です。#行政書士試験 pic.twitter.com/DOBzzmw4Py
実際に使用した教材一覧は以下の通りです。
判例集だけは古くても良いと思い、メルカリで2023年版を購入しました!
受験後に振り返ってみると使わなくても良かった教材が複数あり、使い切れなかったのもあったのが正直なところです。特に必須だったと感じたものは次項で詳しく紹介します。
学習にあたっては上記テキスト教材のほかに、以下のYoutubeチャンネルを利用しました。有料メンバーシップへの加入はしませんでした。
LEC 出る順行政書士 合格基本書
その名のとおり、基本となるテキストです。筆者と一緒で少し冗長なところが気になるようにも思いますが、合格に必要な条文や判例はすべて押さえられており、合格に必要な範囲の六法も付属しています。学習が進むにつれて感じたのは、ミニマム六法を購入する必要はなく、付属品の六法で必要にして十分でした。
LECの出版するテキストは上記以外にも「トリセツ」があります。出る順は二色刷りで十分な情報量があるのに対し、トリセツはフルカラーで内容を厳選していて取っつきやすさがあります。初学者であればトリセツの方が向いているのかもしれませんが、私は情報量の多い出る順を選択しました。
LEC 出る順行政書士 肢別過去問題集
通称「肢別」です。
私は勉強開始から受験前日までこの問題集を使いました。自身の残した学習記録によると、テキストで周回したのは11周+アプリ版で3周の計14周でした。なお、学習記録は下図のようにGoogleスプレッドシートへ記入して管理していました。40ページを1つの区切りとしていたのですが、最初のうちはすごく日数が掛かったことが分かります。
肢別本は20周以上されるような方もいらっしゃるようですが、1年ぐらいの期間がないとそのレベルまでやるのは難しいかもしれません。
ちなみに、分厚くて持ち歩きにくかったので、学習後期は分冊化しました!
この時期に今さら感がありますが、
— シュン | R6行政書士受験生(結果待ち) (@middle_license) September 22, 2024
あまりにも厚くて使いづらいので分冊✂
もっと早くやっておけば良かったー pic.twitter.com/8wLKDjPVZi
「肢別本をひたすら周回しても意味がない」とおっしゃる方は多いですが、使い方によると思われます。
筆者は学習の中盤~後半では「条文・判例ではどのように書かれているか?」を強く意識して解くようにし、理解が曖昧なところがあれば、必ず六法や判例集を引くようにしていました。漠然と正誤判定を繰り返して周回していたとすれば、それは確かに意味がないと思います。
また、学習の中盤以降に取り組んだこととして、よく参照していた条文・判例には印を付けるようにし、最後の2か月になってからはその中で何度も参照された条文や、重要と考えられる条文を暗記するようにしていました。重要条文といってもどう厳選していいか分からなかったため、厳選に際してはアモン先生の教材を購入して参考とし、暗記作業自体はiPhoneのAnkiアプリを使いました。条文の暗記は辛い作業ですが、これが合格に一番必要な取り組みだったと断言できます。
今日のAnkiノルマ終わり!
— シュン | R6行政書士受験生(結果待ち) (@middle_license) October 6, 2024
明日は数日ぶりに肢別やろうかなぁ。 pic.twitter.com/oFgU9CNQ2Y
基本テキストと肢別本以外に使用したテキスト教材としては、条文だと三省堂のミニマム六法、判例はTACの判例集が挙げられますが、どちらも上記の基本テキストに書いてある、もしくは付属していて重複する教材だったなと思います。1つのテーマに特化した教材は読みやすいように作られていますが、何冊にも跨って参照すると読み返すのが大変でした。基本テキスト1冊で十分です。
LEC 出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集
行政書士試験には記述式問題が3問あり、各20点・合計60点と大きな得点源となります。
問題で問われている趣旨に従って、条文・判例知識を正確に記述できるかによって点数が上下する形式となっており、部分点が貰える仕組みになっています。すべて正確に答えられなくとも、とにかく何か書いてくことで点が貰える可能性があります。
秩序罰と呼ばれ、地方自治法を根拠として、地方公共団体の長が科すものとされている。 pic.twitter.com/rPAfq4ykQP
— シュン | R6行政書士受験生(結果待ち) (@middle_license) November 6, 2024
記述式の問題集は、条文暗記が進まない中ですとまったく歯が立ちません。そのため、取り組むのは8~9月ぐらいの比較的学習が進んだ頃に取り組むと良いのかなという印象でした。同問題集には多肢選択問題も付属していますので、そちらはもう少し早めに取り組んでも良いと思います。
この問題集が役に立ったかといえば、結構役に立ったんじゃないかと思います。同じ問題が出題されることは無いですが、近い条文を参照する問題はあったように思います。条文は暗記の他にアウトプット(暗唱したり、書き出したり)ということをしないとまったく記憶に定着しないので、そのトレーニングをするための問題集として良かったと思います。
なお、問題集では採点の目安がありますが、本番の記述式問題は採点基準が非公開となっています。その年の択一問題の出来によって採点の甘さが変わると推測されており、合格率が10%台前半に保たれていることからも、合格率の調整弁になっていることは明らかであると言えます。なかなか闇が深いですね。
LEC 出る順行政書士 直前予想模試
予想模試は本試験に似ているようで違う何かだと考えており、変な問題もあるのであまり好きではないです。しかし、行政書士試験は3時間という時間を集中する必要があり、人によっては解く順番も考えておく必要があります。ぶっつけ本番挑むのは得策でなく、予想模試を使った本試験のシミュレーションは必須です。
私は模試も本番も問1から順番に解きました!
LECの他に合格革命の予想模試にも取り組みましたが、最初から最後まで合格点が取れなくて本当に絶望したことを覚えています。直前で2022年の試験を解いてコンディションの調整をしましたが、それは過去問なので除くとして、初見の問題では本試験が一番得点できました。
帰宅してから模試をやりました😊
— シュン | R6行政書士受験生(結果待ち) (@middle_license) September 11, 2024
結果は記述含めず144点!
むしろ入れても大して変わらず、
こいつはかなり危険域、、
明日は過去の模試も含めて見直し!
知識を今一度まとめ直します💪#行政書士試験 pic.twitter.com/N1UVH6CvVO
予想模試は市販以外に予備校が開催するものもあります。私はなるべくお金を掛けたくなかったので受験しませんでしたが、試験慣れしていない方は本番のような雰囲気で受験できますので、使うのはアリだと思います。(受験された方によると、受験者に対し配布されるレジュメが便利だという話もあります)
2024年度試験の所感
本記事は合格発表前なので、これで落ちていたら不合格者の恥ずかしい感想となります。予備校の総評とも異なるかもしれませんが、特に気にせず書くと以下のとおりです。
記述の採点を待たずして合格ラインに達している方は、基礎知識の点数も非常に高い印象でした。基礎知識は範囲が非常に広いように見えて、テキストに書いてある範囲を押さえるだけでも効果があるように思いますので、今後は基礎知識の対策をしっかりすることが合格への近道なのかもしれませんね。
結論:肢別問題集で合格できるか?
筆者の受験体験を通じて感じたことは教材紹介からも伝わると思いますが、肢別問題集「だけ」で合格するのは大変厳しい印象でした。
ただ、最近はありがたいことに、X(Twitter)で予備校のアカウント等が無償で問題提供をされています。これが大変勉強になりますので、活用しない手はありません。私も相当に活用させていただきました。
審査基準と呼ばれており、定める場合はできる限り具体的なものとしなければならない。
— シュン | R6行政書士受験生(結果待ち) (@middle_license) October 3, 2024
何か足りない気がしないでもないです🤔
例えば、このようなX(Twitter)で出題される問題を活用すれば、購入物を基本テキストと肢別問題集だけに限定し、六法はテキスト付属を使用するという方法でも、もしかしたらそこそこの勝負ができるかもしれません。問題集になっている物を買った方が効率が良いので、まったくオススメはしないですが…
本記事は以上です!
結果が出ないと語れない内容もありますので、合格発表が終わったらまた記事を更新しますね。
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